思い

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 シェインが顔を下にうつぶせたま、レイラの腕をつかんで離さなかった。 「すみません・・・勝手だとは分かっていますが、こうさせてください・・・少しの間だけ・・・」  レイラはその言葉に驚いたが、 「いいよ」 と答えた。  レイラはシェインを自分の胸元に抱き寄せた。シェインは顔を上げなかったが、泣いているのが分かった。そんなシェインをレイラはただ、抱きしめることしかできなかった。 ――ずっと泣くことを我慢し続けていたんだな。  今は、少しでもシェインの心を癒そうと思った。自分にはこうやってシェインの心を癒すことも、抱きしめる資格なんて本当はないけれども、これで、シェインの心が癒されるならと思うと、それでもよかった。 ―― 一体どこが天使なのだろう。心は人間と変わらないじゃないか。いやむしろ、シェインのほうが人間らしい。人間とエンジェルの違いは一体なんだ?  レイラはシェインが泣いているのを見て、ずっと考えていた。住んでいる世界が違っていても、心はどの世界の住人でも変わらないはずだ。では、どこが違うのだろう。
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