思い

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「全くその通りです。光華は天上界の宝で、この華が天上界を支えています。しかし、この華はエンジェルたちが流した涙そのものなのです。エンジェルが涙を一粒流すたびに、光華が一輪咲きます。天上界は悲しみの世界。その世界にいる限り、エンジェル達は幸せを感じない。今ある世界が全てだと思ってしまっているので、発展しようとはしない世界。ある意味、心が死んでしまった者達、それがエンジェル。光華は美しいけれども、悲しみの象徴でもあるのです。エンジェルは心が優しすぎるので、つらく、切ない事があると、心が悲しみしか感じなくなる。 でもその中で、意志がある者のみが、こうして人間界に来て、試験を受けて、本当の心を知る。人間は、いろんな心を持っているので、エンジェル達にあえて試験の内容を、『人間について調べること』にしているのです。人間は悲しみの中から幸せを見つけようとしますから。そういうことを、私は知ってもらいたいんです。だからあえて、人間界で試験をしているんです」  レイラは天上界がとても悲しい世界だと認識した。 「天上界は何から生まれたと思いますか?」 「何だ?」 「それは・・・創造主の恋人の心だそうです。その悲しみが天上界を支えている。きっととても悲しい体験をなさったのでしょうね・・・もしかしたら、その悲しみが癒されるなら、きっと天上界は誰も、心が死ななくてすむでしょうに。」  ――創造主の恋人の心か。そもそも創造主がどんな存在なのか想像もつかない。この世界を創ったという存在は、何を体験し、何を思って世界を創ったのだろう。  レイラは見たことも無い存在のことを考えた。
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