思い

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 龍勝はジェナのみぞおちを思いっきり蹴った。女性には優しくしろと言われるかもしれないが、人殺しを重ねてきた龍勝には女、子どもを殺すときにためらいはなかった。だから蹴ることに対しても造作ないことだった。ただし、殺してしまうわけにはいかないので、ちゃんと加減して蹴っている。  蹴りをみぞおちにくらってジェナは意識を失い、その場に横向きに倒れた。 龍勝はジェナを見つめながら考えていた。そしてふと思った。 「そもそもなんで翼が灰色になっているんだ?『龍心眼』で翼が灰色になるとは考えにくいし・・・意志が強い奴は一瞬命令に背くような動作を出したことも過去に何度かあったが、こんなことは初めてだな。ん、まてよ、灰色の翼・・・命あるものを殺すエンジェル・・・まさかコイツ、元の姿は堕天使なのか?」  天上界には『天上界誓約書・聖典の章』と『天上界制約書・法典の章』いうのがあるのを聞いたことがあった。  『聖典の章』は、天上界の決まりごとなどが記された憲法の本なのだが、『法典の章』は、刑罰につてのことが数百ページにわたって書かれているいわば刑法の本だ。
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