思い

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 その中でも『法典の章・第九十九条――エンジェルを殺した者は天上界からの追放、または堕天使として生きるかのどちらかにする。しかし、どちらを選ぶかは本人の決断とする――』と記載されていた。つまり、ジェナは天上界で誰かを殺し、自らの意志で堕天使となったということになる。ちなみに堕天使のことについて書かれているのはここだけだ。  堕天使という存在は天上界でもあまり知られておらず、数が少ないというのが最大の理由だった。なぜ、エンジェルを殺すと堕天使になってしまうのかは、未だに謎らしい。『エンジェルを殺した者は天上界からの追放』と『法典の章』には記されているが、実際はほとんどのエンジェルは仲間を殺してしまうと精神崩壊を起こしてしまい、死んでしまう。つまり、堕天使として生きることを選んだエンジェルは、強靭な精神力を持っていることになる。 「普通の人間にその技をかけても何事もなかったのになぁ。龍勝」  後ろから声がしたので振り返ると、青い髪をした青年が立っていた。 「堕天使は、普通のエンジェルとは比べものにならないくらい力が強く、精神力も強いからな。ところで、何の用だ?あいつからの伝達か?」 「本人の前ではそんな口の利き方をしないのに。あの人からの伝言だ。真に光華を持っている人物の情報が入った。そいつは『シスター』だそうだ」  その情報を聞いて龍勝は少しだけ目を見開いた。
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