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「初めて会ったのは100年前だっけ。で、オレがこうなったのは100年前だから、実際の年齢は121歳だ」
「そういえばオマエも、そのときから時間が止まったんだよな」
「まあ、オレはこの『血の刻印』が消えれば死ねるけど、龍勝はいつまでか分からないもんな」
青年は自分の左ほほをなでながら言った。龍勝は青年の左ほほを見た。『血の刻印』と言われる術者の血で刻み込まれたクロスを。術者、またはその血族が『血の刻印』を施した人物を必要とするまで生かされ続ける呪いだ。
「何故、術をかけられた?」
「これか?」
青年はもの悲しそうな顔をした。
「オレには大切な恋人がいたが、父の放った手先に殺された。オレの目の前でだ。そのとき、オレはまだ力が開放されていなかった。かなわない恋と分かっていながらも、愛していたのに・・・守ることができなかった。
殺される瞬間、オレは手下共に取り押さえられていた。そして・・・返り血を浴びた。一瞬だった。彼女は絶命する直前、オレのほうを見て笑っていた。これでいいのだと言われた気がした」
青年は自分の手を見つめた。
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