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――そうだ、なぜオレはレイラを殺させないようにしているんだ?オレがバケモノだと知っても、以前と変わらないように接してくるからか?アイツに、カイラに似ているからか?いや、レイラとカイラは違う。カイラに殺意を抱いても、レイラには殺意は湧かない。
だったらなぜ、オレはレイラにここまで意識しているんだ?誰が死のうが一緒じゃないか。
龍勝は破邪の質問には答えられなかった。
「とにかく、レイラは殺させない。約束しろ」
しばらく沈黙が流れた。
『分かった。今はまだ、殺さない。もし蓮に完全に支配されたら、殺す』
龍勝は紅い瞳の右目に手を当てた。また、血の涙を流していた。
『血の涙を、そのうち流せなくさせてやる。苦しみから解放させ、オマエに死を与えてやる』
龍勝は顔をうずめた。
「それはオマエの死も意味するんだろ?・・・死んだら、どんな気分になるんだろうな・・・」
『死が怖いのか?死はすなわち己自身を抹消してしまうことだからか?』
「消えるなら・・・消えてしまったほうがいい。オレは、あまりにも・・・人を殺しすぎた・・・」
破邪はそれ以上何も言わなかった。彼自身も気を遣っているのだろう。結局、龍勝の仕事に手を貸していることに変わらない。自分が憑いているせいで、龍勝が傷つき、苦しんでいる。
龍勝は龍、つまり破邪無王が憑いているから不老不死だと思っているが、破邪は龍勝が死ねない本当の理由を何となく思い当っていた。だが、話そうとは一度も思わなかった。どうせ話したところで龍勝が不老不死でなくなるわけではないのだ。
今のまま、真実を知らないほうがいいに決まっている。
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