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嘆きの讃美歌
シェインにとって妹であるジェナが行方不明になって、もうじき3週間が経とうとしていた。街はクリスマス一色に染まってはいるが、教会では重苦しい緊張感が流れ出していた。クリスマス、すなわちエンジェル・フレイになるための試験が迫ってきていたのだった。
未だに帰ってこない妹の心配ばかりしているせいなのか、シェインは倒れてしまった。
「ジェナの心配をするのは分かるけど、自分の体も大切にしないと」
シェインが倒れたとシスターから連絡を受けて、マキとレイラが花を持ってシェインの部屋に入ると、シェインはベッドで寝ていた。初めて会ったころに比べて、体がやせ細ってしまっていて、顔が真っ青だ。
「ええ。でも、ジェナのことを考えると、食べ物がのどを通らないんです」
「シェインは本当に心配性なんだな」
花を花瓶に挿しながらレイラはシェインを見た。
シェインは青白い顔をしてやつれてしまっていた。声もずいぶんと弱々しかった。
コンコンとドアをたたく音がした。
「失礼します。おかゆを作ってきました。さあシェイン、少しでも食べないと元気になりませんよ」
おかゆをお盆の上にのせて入ってきたのは、シスターだった。
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