嘆きの讃美歌

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「ねえ、大丈夫なの?」  マキが心配そうに聞いてきた。 「大丈夫だ・・・何か映像が頭の中に流れたけど、・・・確信はないがたぶん、昔の記憶だ」 「確か、5年前より前の記憶がなかったんだよね」 「頭の中で流れた映像、ほんの少しだけだったけど知っている気がするんだ」 「きっとレイラ君の過去に違いないよ。よかったじゃない」  たったこれだけだが、レイラは少しうれしかった。ほとんど記憶が甦ることをあきらめていたからだ。今まで何があっても、記憶は甦ることはなかった。なぜ突然少しだが、思い出しかけているのか。 「いつか、全部思い出せる日がくるよ。あせらず、少しずつ思い出していったらいいじゃない」 「そうですよ、レイラさん。さてシェイン、ちゃんと食べましたか」  レイラが頭痛を起こす前にシェインは、少しだが、おかゆを食べていた。 「シスター、もういいです。下げてくれませんか」 まだまだ器の中におかゆが残っていた。
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