嘆きの讃美歌

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 シスターはお盆をかたづけると、教会の庭に出た。庭と言ってもベンチがひとつ置いてあるだけだ。そのベンチに、黒いコートを着た黒髪の若い男性が座っていた。  「久しぶりだね、シスター」  シスターがいたことに気付いた男性が陽気に挨拶をした。  「ええ、いつ以来でしょうか。創造主様」  「いやだなあ、創造主様なんておおげさすぎるよ。ディスでいいって言ってるのに。それに、創造主って言っても、あくまで人間界限定の話だから。他の4つの世界は、別に僕が造った世界じゃないからね」  黒いコートの男、ディスはにこっと微笑んだ。  「ですが、天上界はディス様の恋人の心ですよ。ディス様が創られたようなものです」  「それはちょっと違うよ。もともとあった天上界に後から彼女の心を足したんだから。綺麗なはずだった彼女の心は、悲しみでいっぱいだね。だから天使たちは―」  「もう、それ以上おっしゃらないでください」  シスターが苦しそうな表情をしながら言った。  「それ以上は、ディス様が傷ついてしまいます。どうかおやめください」  「・・・うん、ごめんね。別にシスターを苦しめたかったわけじゃないから」  ディスは困ったように言った。
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