嘆きの讃美歌

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「ディス様、あなたが来られたということは・・・」  シスターは話を変えた。 「うん。君の役目が終わることを伝えに来たんだ。ところで、試験はどう?うまくいきそう?」 「うまくいくもなにも、結果はご存じでしょう?」 「うん、知っているけどね」  ディスは立ち上がってシスターと向かい合った。 「確かに僕はこれから先の未来、何が起きるのかも知っている。その未来に『光華』は必要不可欠なもの。『光華』を人間界に持ってきてくれた時点で君の役目は終わり。君が生まれた意味は、天上界のためというより、このためにあったようなものだよ」  ディスは陽気に言った。 「もう、二度と会うこともないね。さようなら」  ディスは風景に溶け込むかのように消えた。 「私の仕事も、これで終わりですね・・・」  シスターは長年勤めてきた教会を見つめながら言った。
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