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そこにマキが来た。
「仕方ないよ。あれだけケガしていたし。しばらくすれば戻れるって言っていたから。そのあと、デートでもしようかな」
「何、マキ、彼氏でもできたの?」
クラスメイトの富岡ハルカがマキに話しかけてきた。長い金髪に青い目をしたかわいい系の女の子だ。
かわいいというだけあって、全校の男子の中でも人気があった。レイラ自身、確かに好みのタイプなのだが、『好き』というより、なぜか『懐かしい』という感じがあった。当然だが、レイラの記憶の中に富岡ハルカのことは事故に遭ってからの記憶しかない。ではなぜ、富岡ハルカのことを『懐かしい』と感じるのだろうか。
――もしかして、オレは富岡と昔、会ったことがあるのか?
「うん。キド君に告白されたの・・・」
マキは顔を真っ赤にしながら言った。
「へぇキド君がねぇ。いつも静かに本読んでいたし、告白する雰囲気なかったからなんか意外。ねえ、それシスターに言ったの?」
「シスター?」
レイラはさっきの考えを頭の隅に追いやり、話の輪に戻った。
「ほら、美術館の近くに教会があるでしょ。そこのシスターよ。歳は少し離れているけど、マキの友達なの」
ハルカが答えた。
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