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黒髪黒眼、目つきが悪く、色白でどこか陰湿な雰囲気はあるが、黙ってじっとしていれば婦女子から黄色い声を浴びせかけられそうな、それなりに整った綺麗な顔立ちをしている。
現に、クラスの女子生徒たちが、彼について幾度も激論を繰り広げている。由喜も意外とタイプらしく、「私より背が高ければなぁ」と本気で悩んでいた。
しかし、談子にとってはどうでもいい。人は見た目ではない、中身で選ぶものだ。それがモットーの談子に、外見的秀麗さなど何の意味も持たない。
付け加えて、自分の趣味好みにケチをつけてくる、ウザったい人間に好意を抱けるほど、人間離れもしていない。
そもそもこいつは、入学当時から談子が奇怪な話を繰り広げるたびに鬱陶しいと喧嘩を吹っかけてきていたため、今では犬猿の仲となっている。
今回も例外なく、談子が黙っているはずもない。
「うっさい! あんたに頭ごなしに否定される覚えはないわ」
「存在しないものを否定するのは当前だろう。お前の歪んだ頭から放出される妄想話が、こっちまで流れてきて実に不愉快だ。そんなひん曲がった脳ミソしてるからネクタイまでひん曲がってるんだよ」
談子は慌てて自分の首元を見た。学校指定の黒いブレザーから除く、ラクダ色のネクタイ。不器用な談子が自分で取り付けると、なぜか右上がりに傾いてバランスが悪くなってしまう。
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