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2.鬼の出る高校
それは、金曜日の昼休みのこと。
春の陽気もうららかに、やっと高校生活に馴染めてきたかなと思える、そんな雰囲気の一年一組。
教室の中央付近に、妙な噂で盛り上がる二人組がいた。
「この学校、鬼が出るんだって」
「へぇ。バイトの鬼とか、テストの鬼?」
「違う! 本物の鬼だって。角が生えてて、おっきくて、なんか怖いやつ」
「本物って、あんた見たことないでしょ」
「ある! 豆まきのときとか。あっ、おばあちゃん家に鬼の剥製があるんだよ。すっごいリアルなの」
「ああそう。なんか違う気がするけど、まあいいんじゃない?」
「由喜ちゃん、全然信用してないでしょう?」
「信じてるよ。おばあちゃん家に鬼の剥製があるんでしょ?」
「そこじゃないから! 話ずれてるし、もぉー!」
机に手を乗せて重心を取りながら、真剣な話をしているのにまったく相手にされず地団太を踏む少女、月見談子。
耳が隠れるくらいの長さのストレートな髪、長くも短くもない標準的なスカート丈の、目立ちどころのない平凡な少女。
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