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どこの学校にもある七不思議、みたいなものだろう。そう判断した新入生たちは特にそんな話を信じる素振りもなく、ネタがなくなったときの話題の題材程度に認識しているのが普通だ。
しかし、そんな摩訶不思議な話が大好きな談子にとっては、紙面一面を飾り立てても足りないほど壮大なニュースだった。
だからこうして人一倍盛り上がって、その感動を数少ない友人にぶちまけてはテンションを維持しているのだ。由喜は迷惑そうにしているが。
「鬼を封印した御神体がね、学校のどこかにあるんだってさ。でも誰も見たことないんだって。きっと人目につかないところにあるんだろうなー」
「談子ちゃん。見た人がいないってことは、存在してないってことなんだよ。分かる?」
目を輝かせて想像上の御神体をうっとり見つめる談子を諭しながら、由喜は茶々を入れてくる。
だが、その程度でめげる談子でもなかった。
「ちがうよ、きっと人には見えないように結界とか張って守ってあるんだよ。あー気になるなぁ。誰がそんな高度なことやってのけたんだろう」
「あんたの頭の中に湧いてる、ウジムシ君たちでしょ」
「すごーい、あたしの頭……」
「ああ、ダメだこりゃ」
妄想モードに突入した談子に呆れて、由喜はこめかみを押さえて息を吐く。こうなると、何かきっかけでも起こって現実に引き戻されるまで、談子は元に戻らない。
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