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「もう、告白しちゃえって! それが一番早いわ! お前の気持ち自体はそうなんだろ!」
拓也が大声で叫ぶから、周りの視線を一気に集める。
「やめろって、周りが……」
「いや、周りなんて関係ない! お前の気持ち次第なんだからな!」
拓也は民衆に演説する政治家よろしく、威風堂々、机を叩き叫ぶ。
「告白しろ! それで伝えろ! 初対面じゃないし、幼馴染は成功率も高い!」
興奮した拓也は顔を真っ赤にさせながら、説いている。
聡にはもう打つすべがない。
「いいから! 分かったから! 少し黙っていてくれよぉっ!」
聡は拓也を座らせ、深呼吸した。
「落ち着け」
「これが落ち着いていられ……」
「頼むから落ち着いてくれ」
拓也はようやくぶつくさいいながら、椅子に座った。
「俺に策はないし、お前の力を借り過ぎるのもどうかと思う。でも、あの意識すらされてないのはさすがに無理があると俺は思う。告白してもとぼけられたり、冗談と思われたりするのは勘弁だ」
聡がそう言うと拓也はようやく話を聞き始めた。
「分かってるよ……俺もお前の気持ちを代わりに代弁してやろう、とは思ってない。でも楓ちゃんの鈍さは……」
「あぁ、あれは昔からだから。仕方ない……」
そう聡が言うと、二人は深いため息をついた。
「普通嬉しいことだよなぁ? 自分を気遣ってくれている、て」
「さぁ、俺は女じゃないから分からない」
聡が言うと、またため息を吐いた。
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