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 そこから、いきなりプロ同士の会話になった。 「仕様は聞かれていますか。一応申し上げますと──」  理香が作った資料を手に説明する。 「A3判二つ折り四ページ、両面とも四色。紙はコート110kg、部数は二千部。納期が十六日午前中とのことなんですが、色校を二回出していただくとして、最短の工程を教えていただけますか」  相手が何か答える。長谷さんは相槌を打ちながら、スマホを片手に書類の余白にメモを取っている。 「データは、アウトラインかけて完全版下の状態でお渡しします。色校、入稿の翌日に出せます? ああ、週末がかかるか。じゃあ、八日の金曜日にデータ入稿、十一日に色校出し、十三日に二校ですね」  長谷さんの声が明るくなった。 「了解です。何とかなるかな。調整して、詳細は明日以降にまたご連絡します。できるだけ急ぎますので、ご面倒をおかけしますが、よろしくお願いします」  長谷さんは電話を切ると、すぐに顔を上げ一同を見渡した。 「この話、お受けします」 「──受けてもらえるんですか?」  理香は聞き返した。 「はい。研さんからの依頼だという時点で基本的に受けるつもりでいましたし、内容をうかがって、ますますやらせていただこうかな、と。ただ、ちょっとスケジュールが──」 「スケジュール?」 「実は、今週末納期の案件を抱えていまして。そちらが終わり次第すぐに着手しますが、来週末には川辺印刷に最初のデータを渡さないといけないので、実質、一週間で校正──文字とデザインの確認をお願いすることになります」  長谷さんは言って、「ご理解いただけたら」と頭を下げた。
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