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「じゃあ、どんな間柄だって?」研さんの声が鋭くなった。「親密な間柄だったんじゃないのか?」
「違います」
「二人で晩メシを食ったり?」
「たまたま会っただけです」
これは、嘘じゃない。後ろめたいことなんてなかった。あの時までは。
「手をつないで歩くのは?」
予想もしなかった言葉に、研さんを凝視した。答えられない理香に、研さんがたたみかけた。
「明け方に部屋から帰るのは?」
理香は目をそらした。
「そんなこと──」
言いかけた声が震える。
「まさか『そんなことしてない』なんて言わないよな。会ったもんな」
分からない。この人は本当に長谷さんの友達なんだろうか。そんなことを暴いても、彼の汚点にしかならないというのに。
「あいつが眠ってる間にいなくなってしまうのは?」
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