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「みーつーけーたーぞー」  いきなり背後からかかった声に、沙彩ちゃんがばっと振り向いた。部屋の入り口に、和希ちゃんが仁王立ちしていた。沙彩ちゃんは「げ、まずい」とつぶやいた。 「こら、沙彩。ミキちゃんまで。もう、どこ行ったかと思ったら、二人とも何してんの、こんなとこで」 「だって、リカちゃんったら、イケメンと付き合ってたんだよ!」  和希ちゃんは、ふふん、と笑った。 「今さら何言ってんの。情報、遅いよ。それに、冷やかすなら終わってからにしな」  やっぱり、いろいろとばれているのかもしれない。 「次、数学やるよ。早くおいで!」  和希ちゃんが、二人をうながして会場に戻っていく。振り向くと、野中さんが笑っていた。気まずくてドキドキした。 「彼女、和希さんでしたっけ? 教師を目指してるのかと思ってたら、社会福祉士の資格を取得予定なんだそうですね」 「ええと、はい。そうらしいです」 「教育委員会に来ないかなあ。スクールソーシャルワーカー、向いてると思うんだけど。そのうち、スカウトしようかなあ」
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