2979人が本棚に入れています
本棚に追加
「みーつーけーたーぞー」
いきなり背後からかかった声に、沙彩ちゃんがばっと振り向いた。部屋の入り口に、和希ちゃんが仁王立ちしていた。沙彩ちゃんは「げ、まずい」とつぶやいた。
「こら、沙彩。ミキちゃんまで。もう、どこ行ったかと思ったら、二人とも何してんの、こんなとこで」
「だって、リカちゃんったら、イケメンと付き合ってたんだよ!」
和希ちゃんは、ふふん、と笑った。
「今さら何言ってんの。情報、遅いよ。それに、冷やかすなら終わってからにしな」
やっぱり、いろいろとばれているのかもしれない。
「次、数学やるよ。早くおいで!」
和希ちゃんが、二人をうながして会場に戻っていく。振り向くと、野中さんが笑っていた。気まずくてドキドキした。
「彼女、和希さんでしたっけ? 教師を目指してるのかと思ってたら、社会福祉士の資格を取得予定なんだそうですね」
「ええと、はい。そうらしいです」
「教育委員会に来ないかなあ。スクールソーシャルワーカー、向いてると思うんだけど。そのうち、スカウトしようかなあ」
最初のコメントを投稿しよう!