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香織の呟きは、胸の奥に響いた。
「俺も……」聞こえないように呟く。
やたらと広い庭を通ると、今度はやたらと広い屋敷が待っていた。
香織は俺が帰る事を報告していたらしく、すぐに夕食になる。
俺は、ハンバーグにスパゲティなどの定番メニューに安心する。
親父が旨そうに食べている所を見ると、淑子さんにすっかり飼い慣らされているようだ。
おふくろの味も時代と共に変化するって事かも知れない。
夕食後、親父と二人っきりにしてあげようと思ったのか? 香織と淑子さんは離れに建つ家へ戻ってしまった。そう、太っ腹な親父は、家政婦の為に一軒家を提供していた。
さて、俺の親父は、体が大きくて強面な人で、ヤバい感じがプンプンするが、性格は大人しい。
今はね……。
だけど、昔は暴れん坊だったらしい。
だって、不死身の体に無限の体力で、しかも年齢は三百歳だから、普通の相手なら年下になる。無茶をしない道理がない。
明治維新の頃にロシアから日本にやって来た親父、アレクサンドロ健司は、かなり乱暴な方法で金を集めてのし上がって来た。
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