香織の場合

2/4
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
 あたしは、優希を家へ連れ帰った。まぁ、偉そうに言ったけど、元々は優希の実家だから、別に不思議はない。  優希とは、生まれた時から一緒だったし、兄妹同然だった。  小さい内は疑うことなくお兄ちゃんだと思っていたんだ。同い年なのにね。  だからあたしは、優希とは血の繋がりが無く、当然、お母さんの子でも無いと知った時はショックだった。  だけど、子供心に思ったんだ。これで、あいつと結婚できるって……。  結婚の意味も知らなかったのに、オマセだったのかな?  だけど、中学を卒業すると、あいつは一人暮らしをすると宣言して、家を出てしまった。  優希が居なくなって寂しい。  だから、迷惑も省みず、嫌な顔も見ないふりして、優希のアパートに通い続けた。  優希は何で一人暮らしをしたかったんだろう?  あたしから離れたかったのかな?  朝が来る度、優希に会いに行くのが楽しみだった。  同じクラスなんだから、どうせ会う機会はあるのに、一分でも一秒でも早く会いたかった。  そして、笑顔を見せて欲しかった。  あたしを愛してくれなくてもいい。ただの幼なじみでいい。優希と少しでも一緒にいたい。それが今の望みです。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!