香織の場合

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 さてと、明日はアパートに朝食を届けなくていいから楽だぞ~。  髪を乾かしながら、パンにするかご飯にするか考えていた。  サンドイッチでも作ってみるか。  考えをまとめると、冷蔵庫の中身を思い出す。  卵、有る。  レタス、有る。  牛乳、有る。  トマト、有る。  マヨネーズ、有る。  ハム……。  有ったっけ?  ハムは優希の大好物だから外せない。  心配性だから、冷蔵庫に確認しに行った。 「なんだ、豚の加工品ごときが、脅かしやがって」  あたしは、冷蔵庫の中で折り重なって静かにしているハムに向かって悪態をついてみる。  そんな時、優希のお父さんがキッチンに入って来た。 「トマトジュースある」  優希のパパが聞いて来た。  そう言えば、優希も優希パパも、夜になるとやたらとトマトジュースを飲みたがる? 「ハイ、どうぞ」  あたしが、コップに注いで渡すと、腰に手を当ててゴクゴク飲んだ。  なかなかの飲みっぷりですぜ、お父さん。  そうだ、優希にも持って行ってあげよう。  そう考えて、優希パパに尋ねる。 「優希、まだ起きてますか?」  すると、意外な返事があった。 「アパートに帰ったぞ」 「な~にぃ~!」
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