優希の場合

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 テーブルには、朝食の支度がしてある。ご飯に納豆と味噌汁に海苔が揃い、いかにも日本の朝食と言わんばかりのメニューだった。   「わざわざ朝食の支度をしに来なくていいんだぜ」  そう、香織が来なければ、三十分は余分に睡眠が取れる。俺に取って、そのほうがよっぽど有意義だと思える。  だが、俺の気持ちは香織に通じない。俺が遠慮しているのだと思い込んでいる。もしくは、思い込むふりをしている。 「大丈夫だって、早起きは慣れてるし、ちっとも嫌じゃないから」  香織が素敵な笑顔で仰る。  とにかく向かい合わせで 「頂きます!」  香織は、俺が食べるのを見てニコニコしている。幸せそうな笑顔だ。 「楽しい?」  意地悪く聞いてみる。 「見たっていいでしょ! 減るもんじゃなし」  香織のご機嫌を損じてしまった。  だけど、食事を見ていられたら、気にならないか? 悪い気はしないけどさ。  朝食を終え、登校する。  俺が運転、  俺が動力、  香織は荷物の自転車2人乗り。  俺は、金持ちらしからぬ乗り物で香織と通学していた。  仕方ないよ、親元から離れているんだから。金持ちなのは親なんだし。
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