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「大変な訳ないだろ。麗の取り巻きになる事に比べたら、むしろ快適だね」
俺が反論すると、麗が睨んで来た。ちょっと怖い……。
だが、草食系と侮っていた俺の反撃に驚いたらしく、麗は自分の取り巻きの所に戻って行った。
たぶん、麗グループの中で、盛んに毒吐きや慰め合いが起こっているのだろう。
それが証拠に、こちらをチラチラ見ている。
俺は、麗なんかより香織が心配だった。彼女は、少し落ち込んでいるように見えた。
「気にしちゃ駄目だよ。わたしたちは香織の味方なんだから」
美和が声をかけると、香織は笑顔を見せた。
「気にする訳ないじゃん。わたしが落ち込んだら、誰が二人を守ってあげるのよ」
美和と俺は、大人しい草食系だと思われている。
だから、麗に虐められていたのは、最初は俺たちだった。
そんな時、香織は牧羊犬みたいに俺たちを守ってくれた。だけど、実は美和もヴァンパイアで、人間の虐め程度は気にならないのだが、香織の親切が嬉しいのは、俺と同じだろう。
ただ、何時しか麗の標的は、俺たちから香織に移っていた。
さて、担任の先生が入って来て、ホームルームが始まる。
出欠の順番は後の方なので、ボーっとしながら考えていた。
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