調書

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「待ってるわ」  いい顔でウインク一つ。ランバートは肩を落として彼女には勝てない事をしみじみ感じた。 「大変なんでしょ? 去年、攫われたって」 「あぁ、うん」 「あれって、レンゼール派っていうテロリストの仕業なんでしょ?」  アネットのその言葉に、ランバートは目を見張る。そして、怖い目で彼女を見てしまった。 「その話、誰から」 「え? あぁ、その変わったお客さん。とても詳しいのよ? 元々は王都に住んでたけど、今は西が拠点なんだって。あんたの事件も知ってたわ」 「他に、何か言ってたか?」 「えっと…組織同士が仲が悪いとか、レンゼール派が大きな事をしようとしてるから気をつけろとか、ルシオって人が消えたとか」  おかしい。一般人がそんなに詳しく知っているのか? 何より彼女が話しているのはつい最近明らかになったことだ。  何より最初のやつだ。去年のファウスト拉致事件がレンゼール派の仕業かもしれないなんて、つい最近入った事なんだ。しかもそれは、まだ語尾に「?」がつくのに言い切るなんて。 「その人、どんな見た目?」 「綺麗よ! 背中まである銀髪に、切れ長の緑の瞳でね、色が白くて天使みたい」 「名前は?」     
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