調書

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「カール・ローゼンだって。似合わないだろ? って、恥ずかしそうに言ってたわよ」  ルシオ・フェルナンデスだと、ランバートは思った。ルシオの特徴を調書で知っていた。長い銀髪に緑の瞳の綺麗な男で、周囲から天使と呼ばれていたらしい。  しかも名前。カールは皇帝陛下の愛称、ローゼンはクラウルの家名だ。ローゼン家にカールなんて者は、知っているかぎりはいない。  仕事の顔をするランバートを、アネットは不安そうに見ている。それに苦笑して、ランバートは頷いた。 「今度、友達誘って遊びにいく。そのお客にも会いたいな」 「会いたいって…明後日来ると思うけれど」 「明後日?」 「うん。来る日決まってるのよ。明後日が丁度その日」  明後日。ランバートはクラウルに話すかどうか、これ以上首を突っ込むべきかどうかを迷っていた。ただ、知らないで済ませておくことはできなかった。
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