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幼馴染み(クラウル)
執務室に詰めることが最近多くなった。夕食を食べ、寝る支度を調えてもまだ執務室に小さな明かりを灯す日が続いている。
これはもう癖だ。自室でも考え事はできるし、一人部屋で誰がいるわけでもない。だが、私室は休む場所という刷り込みがされて考えが鈍る。考え事は執務室、仕事場でするのが一番だ。
ルシオの行方が掴めない。西にいる隊員からもそのような報告を受けた。同時にレンゼール派の動きがない。身を潜めたというよりは、不在にしているような静けさだと言う。
「ラウルの報告を疑うのが間違いだな」
ラウルを見た目で判断してはいけない。あの子は芯が強く真面目で優秀だ。今まで暗府の仕事でしくじったことはない。一人でも十分にやってくれる奴だ。
ラウルに西に行ってもらった。ルシオ派の動き、ルシオ・フェルナンデスの行方の捜索、レンゼール派の動きだ。
それによると、ルシオ派が解散状態であるというのは本当らしい。まったく噂を聞かなくなった。同時にルシオ・フェルナンデスの行方も掴めない。
そして、レンゼール派の動きまでもが静かだ。
「ルシオ…」
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