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タイムマシンの使い方
王は真夜中に目を覚ました。鳴り止まない扉のノックが彼を起こしたのだ。
「こんな時間にいったい誰だ?」
眠い目をこすりながら寝室の扉を開けると、そこには自分と瓜二つの人間が立っていた。
「貴様は何者だ?新しい影武者か?こんな時間になにしに来た?」
「私は2年後の未来から来たお前自身だ。タイムマシンを使って時間移動来たのだ。」
「私自身だと?確かに懇意にしている研究者は何人かいるが、にわかには信じがたい話だ。貴様が私自身だと言うならそれを証明してみせろ。」
「いいだろう。まずはこの結婚指輪だ。これはこの世に一組しかないペアリングで、これを作った職人はこの世にもういない。
それに、お前は自室の秘密金庫の暗証番号は娘の誕生日だと妻に話しているが、それは大嘘だ。本当は不倫相手の女、右大臣の妻の誕生日になっている。さらに右大臣の二番目の息子の父親はおそらく私だ。」
「なるほど。確かに私自身らしい。
それで、未来の私がいったい何の用だ?」
「簡単な助言をしに来たんだ。自分を信じて今から言うことを実行してほしい。」
「助言?言ってみろ」
「2日後、国内の民主主義勢力の代表との対談があるだろう?」
「ああ。奴らは国内で過激化していくデモクラシーの沈静化と引き換えに、民衆の権利を拡大を要求してくる腹づもりだろう。全くもって卑しい奴らだ。」
「実はその対談は決裂し、それがきっかけで大きな内乱が起こる。私はそれに敗北し、近い将来私は捕らえられ処刑されるだろう。」
「なんだと。それならば奴らの条件を飲まねばならないというのか?」
「そんなことはない。対談に集まる代表者は内乱の主導者たちばかり。内乱を引き起こさないために、全員殺害するのだ。」
「なるほど。敵の頭を先に潰すということか。一部の民衆の反感も買うだろうが、背に腹は変えられないな。」
王はそう決意すると、2日後の民主主義勢力の代表者を皆殺しにし、勢力を軍事を使って早急に制圧した。
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