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これから三十年ぶりに佳代子に会う。テレビ番組の企画である。妻も子供たちも快く送り出してくれ嬉しかった。今頃、炬燵に入りながらテレビを見ていることだろう。
佳代子は、生涯で最も愛した人と言っても過言ではない。無論、彼女もそうであったであろう。しかし、あの頃の二人は若かった。若過ぎたが故に世間知らずで、周りに迷惑ばかり掛けていた。
そして二人は引き裂かれた。もう一度会う約束を交わしながら、すでに三十年の月日が流れていたのだ。きっと佳代子もいいお婆ちゃんになっているだろう。炬燵に入ってお茶でも啜りながら、子供や孫の話でもしようではないか。もうあのカーテンの後ろには佳代子がいる。
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