【3】消えない思案

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部活に行かなくなって何日経ったか、数えることをやめた頃。 個人的に少し楽しみだった学力祭の答案が回収、採点され、今日はその表彰式の日だった。 体育館に全校生徒を召集し、教員はその後ろに立つ。 成績発表の流れとして、全校で最も正答率の高かったクラスの発表、各学年で最も正答率の高かったクラスの発表、そして成績優秀者の発表という順になる。 次々と壇上に上がる生徒達を目一杯の拍手で讃えていると、成績優秀者の十位以内に、あの生徒会の三年生二人も揃っていてギョッとしてしまった。 すると、隣に立っていた先生が、喝采に紛れて耳打ちしてくる。 「あの三位に並んでる二年生の岩井君、去年も七位に入賞してたのよ」 はっと息を呑んで隣の先生の顔を見てしまった。 「そうだったんですね」 先生の話は、先日聞いた林君との会話と相違なく一致する。 そうか、では彼が噂の。俺は感服してしまい、その背中を暫く見つめていた。
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