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第2章 これ、誰だ?
乱入者が現れたのは、お嬢とロープの引っ張りっこ勝負をしていた時だった。
―ピンポーン
この音が鳴るときは、家の者じゃないヤツがやってきた合図だ。こういうときに出て行くのは決まってママさんだ。オレも相手が敵じゃないかを一緒に確認しに行くことになってるが、今はお嬢との真剣勝負の真っ只中だ。
(ごめんママさん、オレ、手、っていうか口、離せないから付いていけねぇ!)
と心の中で謝った次の瞬間
「ごめんウィル!ちょっとタイム!」
お嬢の引っ張る力が弱まり、オレに手を出してきた。
「ちょうだい?」
お嬢の言葉に、オレはすぐにロープを離した。
ちょうだいって言われたら離さないと怒られちまうし、二回戦もお預けになっちまう。今日はお嬢とずっと居られる日だ。もっと遊びてぇからオレは素直に従った。
なのに、お嬢はロープをオレから受け取ると、リビングの隅に置かれたオレの宝物箱にロープを放り込み、玄関へ素っ飛んで行っちまった。
え?なんで?
リビングに残されたオレは首を傾げる。
二回戦、やるんじゃねぇの?
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