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玄関から、人が上がり込んでくる音と、お嬢の声、それから知らない声が聞こえてくる。
オレはフンフンと鼻を動かした。
お嬢の他に、人間のオスの匂いがする。パパさんではない。よく箱を持って来る汗臭い兄ちゃんの匂いでもない。
これ、誰だ?
「どうぞ入って」
そう言ってオレのテリトリーに入ってきたのは、お嬢より少し背の高いヤツだった。
「初めまして、大木です」
そう言ってママさんにぺこりとお辞儀をする。
「まぁまぁ、いつも祥穂がお世話になってます~」
ママさんもぺこりと頭を下げた。しかも笑顔ってことは、どうやら敵ではないらしい。
「じゃ、私はお友達とお食事なので、後はお二人でごゆっくりぃ~」
うふふ、とママさんは意味ありげな視線を二人に送ってから
「しっかりね」
ママさんがオレを見て言いながら、頭を一撫ですると外へと出て行ってしまった。
しっかり、ってどういうことだ?
「こっちがウィル。ウィル、挨拶は?」
お嬢がオレをコイツに紹介した。オレは少し警戒しながら、相手を見る。
と、コイツはオレの前に膝をつき、オレに視線を合わせた。
「よろしくね、ウィル」
コイツはママさんにしたように、オレにもぺこりと頭を下げた。
ってことは、
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