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ガクッ!と前輪が振動し、勢いのついていたママチャリが前のめりに倒れ込む。
〈転ける!〉
瞬時にそう判断した私は恐怖で目を堅く閉じ、ハンドルから両手を離した途端、顔面からアスファルトへダイビング……
「うへっ?!」
口から飛び出た声は可愛くもなんともない音だった。
〈か、顔は守らなきゃ!〉
女優ではないけれど、私の顔は大事な商売道具。
咄嗟に少しでも地面にぶつかる衝撃を緩和させようと両腕を伸ばした。
派手な軽いパイプの塊が転がる音とともに硬いゴツゴツザラザラとした地面の感触……
「いたっ!」「あだっ!」
……でもなく何故か不気味な声と頭頂部への殴打に、少し弾力のあるクッション素材とナイロン素材に触れた気がした。
ゴロリと半回転してアスファルトに直座りした私は回る焦点をなんとか落ち着かせ、直ぐ様体のあちこちに傷がないか確認。
「いった~い……もう、何~?」
腕をさすさす、足をさすさす、グレーのスウェット上下の埃をはたはたと叩き辺りを見回す。
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