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路地裏の側溝にある蓋と地面との隙間に前輪が嵌まってスッ転んだとみた。
それにしても硬いアスファルトに激突したにしては痛みが少なく、頭頂部を殴られた感覚があるのは何故なのか?
真後ろでのたうつ存在に気付く事なく、不思議に思いつつも埃を叩いて首を傾げていると、鼻息の荒い人影と汚れまくった汚ないヨレヨレのすりっぽんスニーカーを履いた“般若”が目の前に立った。
「はぁ……はぁ、よ、よぉ……ユリア」
「げっ!あ、アキオ」
白地にテカテカな刺繍を施した恥ずかしい為りしたチンピラ男・アキオは眉をヒクつかせ私を見下ろし、普段から整っている顔を不敵に歪ませ勝ち誇った顔をしてくる。
「さぁ~観念するんだな、ユリア?」
「あ……あはっ!や、やだなぁ~アキオったら、こっわ~い」
「ちゃかしてんなよ、このボケっ!きっちり落とし前つけてもらうからな!コルァッ!立てっ!!」
「あっ!い、いったぁ~いっ!ヤダ~っ!」
なよって可愛コぶってみても容赦なくアキオは私の腕を掴んで無理矢理立たせ、歩かせようと反発する身体を引っ張る。
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