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ホワイトは馬車の外を覗き込み、安全を確認すると、有栖へ手招きをした。
「もう少し長くいられるみたいね、あたし達。さぁ、行きましょう」
有栖は少し躊躇した。
先程まで、監禁していたこの女についていくなんて選択肢にはなかった。
「あら、行かないの?」
「信用出来るわけないじゃない!私にあんな酷いことして…」
しかし、そんな二人を狙うように、再び何回も乾いた音が街に鳴り響く。
空を切るような音と、馬車についた弾痕が目に入った。
「これって…銃声!?」
有無も言わず、ホワイトが走り出した。
「脳みそ撃ち抜かれる前に、ついて来なさい」
今度は足元を銃弾が掠め、土煙が舞った。
迷いは吹き飛んだ。
有栖はホワイトの背中を追い、廃墟の街へ走り出した。
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