2.死の兎 DeadRabbit

8/8
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
ホワイトは馬車の外を覗き込み、安全を確認すると、有栖へ手招きをした。 「もう少し長くいられるみたいね、あたし達。さぁ、行きましょう」 有栖は少し躊躇した。 先程まで、監禁していたこの女についていくなんて選択肢にはなかった。 「あら、行かないの?」 「信用出来るわけないじゃない!私にあんな酷いことして…」 しかし、そんな二人を狙うように、再び何回も乾いた音が街に鳴り響く。 空を切るような音と、馬車についた弾痕が目に入った。 「これって…銃声!?」 有無も言わず、ホワイトが走り出した。 「脳みそ撃ち抜かれる前に、ついて来なさい」 今度は足元を銃弾が掠め、土煙が舞った。 迷いは吹き飛んだ。 有栖はホワイトの背中を追い、廃墟の街へ走り出した。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!