1.生死不明 Life and Death Unnown

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「司先輩!!」 思わず駆け出していた。 しかし駆け寄る有栖に気付くような素振りも見せず、司はただ闇を見つめる。 「…から…へ行く…!!」 空へと叫ぶ司の声は、強い風に掻き消され所々聞き取れなかった。 そして重い足取りで一歩、足を出した。 「…聖、ごめんな」 呟くと更に一歩、足を踏み出す。 体がふわっと前へと傾いたーーと同時。 司は腕に走る強い衝撃に後ろを振り返った。 「…有栖!?」 そこには、腕を掴む悲しげな表情の有栖がいた。 「司先輩…」 司に引っ張られるように、有栖の足もふわりと地を離れる。 先程まで吹いていた風が止んだ気がした。 そして、屋上から落下する有栖の目には暗いコンクリートがゆっくりと近付いていた。
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