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「おやすみなさい。アンナ様」  ヒースはそう言って前脚で扉を閉めると、メイドに連れられ下の階におりた。  食事の間では王と王妃が待っていた。 「アンナ様はお昼はいらないそうです」  ヒースが声をかけると、二人は顔を見合わせた。 「じゃあ、お前はなぜここに?」 「姫様がヒース殿に食事をと」  ヒースを連れてきたメイドが答える。  かくして、王と王妃はヒースと食事をすることになったのだが、ヒースは物怖じせず王と王妃と会話をした。初めは違和感を抱いていた王と王妃も、ヒースの様子に慣れて、食事が終わる頃にはすっかり打ち解けていた。 「ヒースはなぜここに?」 「私は色々な地を旅していたのですが、アンナ様の評判を聞き、やって参りました」 「アンナはこの通り、自分以外に興味を示さない。どうかお前がアンナの心を開けるなら開いてくれ。望みのものを与えるから」 「私は望みのものなどございませんが、ベストを尽くさせていただきます」 「おお、頼んだよ」
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