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「姫様!」 「朝食のお時間ですよ!」  メイドたちの声に当事者のアンナはうっすらと目を開けた。  開けられたカーテンからは朝のさわやかな光が差し込んでいる。 「あふ」  可愛らしいあくびを一つして、アンナはベッドの横の小棚に置いてあった手鏡を手に取る。ダイヤで雪の結晶の形をいくつもあしらったその手鏡でアンナは自分の顔を映して、映った自分に微笑んだ。 「おはよう、アンナ。今日もとても綺麗だわ」  そしてうっとりと自分の顔のパーツを観察する。  そんなアンナに慣れっこのメイドたちは手鏡を離さないアンナをベッドから起こして、夜着から簡易なドレスへと着替えさせていく。 「どうですか、姫様」  髪を結い、装飾もつけ終わったあと、メイドの一人がアンナの手鏡をさっと奪い、大きな姿見の前にアンナを立たせた。アンナは鏡に映る自分をまたうっとりと見た。前を向き後ろを向いて、 「ああ、アンナ。やっぱり貴女は完璧だわ」  鏡にくっつき、頬擦りをし始めたアンナをメイドたちは無理やり引き剥がした。 「王様と王妃様が下でお待ちです」  アンナは名残惜しそうに鏡から離れると、仕方なく階段を降りていく。その手には再び手鏡が握られていた。
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