第1話 いつの間にか

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「そ、そうですよね!」 返事をして窓の外を向く。 『工藤さん。ノルマだけは達成していたから。』 白石さんの言葉を、ふと思い出す。 もしかして、工藤さん。 この営業の鬼に脅されて、仕事をしてたんじゃないか? だから早く、結婚したかった? あり得る。 「……斎藤は、どうして出版業界に入ったんだ?」 高速を走りながら、突然始まった質問タイム。 「あっ、出版業界というか、漫画が好きだったんです。でも、私絵が描けなくて。」 「ほう。」 「だから漫画の編集、してみたいって思って。」 思い出すなぁ。 私、大学の時、同人誌の編集してたんだよね。 漫画好きな人が、自分勝手に描いた作品を、一冊の本にまとめて。 誰が表紙描くとか、載せる順番とか。 新しい作家さんとか、同人誌に引き込んでみたり。 楽しかったな。 「そっか。じゃあ、好きな事を仕事にできて、よかったな。」
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