第1話 いつの間にか

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「よろしくお願いします。」 なんだかどっちが、本当の担当者なのか、分からなくなるよ。 「矢田さん、早速なんですが。今度新人作家がデビューする事になりまして、そのポップをお持ちしたんです。」 「えっ?東洋出版さんで、レディコミの新人!?」 ポップを渡す手が、止まった。 「久しぶりですね。期待しちゃうな。」 「有り難うございます。宜しくお願いします。」 私は期待を胸に、少し多目のポップを、矢田さんに渡した。 「じゃあ、また。」 「はい。」 頭を何度も下げて、矢田さんを見送った。 なんとか一つの仕事、クリアしたよ。 「なんだ、お前。ちゃんとできるじゃないか。」 いつの間にか、間野さんが隣にいた。 すかさず、頭を手でカバーする。 「ん?」 「いや、また封筒で叩かれるんじゃないかって。」 「叩くか。そんなバシバシ。」 いや、叩いてましたけど。 そう思いながら。手を下げた。
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