第1話 いつの間にか

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「お店に在庫がない本だったので、発注したのですが、1週間も経つのに、入ってこなくて。確認したら、発注がされていなくて。明日にはそのお客さん、その本を取りに来ちゃうんです。普通に発注したら、明後日になるし。なんとかならないですかね。」 そんな大事な事を、今日気づくのですか? 「何冊必要なんですか?」 「1冊です。」 私に救いを求めている矢田さんに、私が救わねばという思いが沸き上がる。 「おい!斎藤!」 後ろで間野さんが、私を呼んでいる。 「分かりました。明日までですね。なんとかします。」 「宜しくお願いします、斎藤さん!」 また矢田さんに頭を下げながら、間野さんの元へ戻った。 「なんだって?担当者。」 「それが発注ミスって、明日までなんとかなりませんかって。」 「なんて言うタイトルだ?」 私は間野さんの元へ戻る時に書いた、走り書きのメモを彼に見せた。
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