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~晶side~
信じられない。
まさか巧が……
くそっ!なんで、なんであの時俺も一緒に戦うって言えなかったんだ!なんであの時助けられなかったんだ!
………俺はもう一生お前の横には立てないのか?
いや、巧のことだ、ひょっこり帰ってくるに違いない。
そうだ。そうに違いない。だがそのときどんな顔で会えばいい?申し訳なさそうな顔か?違う。あいつはそんなことは好まない。
俺は何をすればいい?
俺がすべきこと……それは……
巧が帰ってきた時に胸をはって隣りに立てるようにすることだ。
待っていてくれ、巧。そしていつか、帰ってこい。
~柚葉side~
私は目の前で見ていた。巧が落ちていくのを。
私は目の前で見ていたのに何も助けることが出来なかった。
私は駄目な人間だ。人を助けることが出来ず、ましてや好きな人に好きと言えずに見捨ててしまった。
そのせいで……巧は………
………ううん、こんなことを考えるのはやめよう。きっと巧は生きている。だって巧は強いから。でも私は?私は弱すぎる。もっと強くなって巧の隣りをまた歩けるようになろう。それからこの気持ちを伝えよう。
待っててね、巧。無事でいてね。
~真奈美side~
幼馴染が死んだ。
巧は他人かもしれないが、それでも私達は家族と同じなのだ。それぐらいに巧は大切な人だった。
……いや、過去形にするのはやめよう。多分、巧は生きている。この異世界でも楽しくやっているのだろう。
次に会ったら殴ってやろう。私達を悲しませた罰として。だって巧は晶にとっての親友で、柚葉にとっての好きな人で、私にとっての……………だから。
待ってて、巧。また会おうね。
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