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夏休みのみえっぱり
朝の電車で見た光景です。
小3くらいの男の子が一人で乗ってきました、リュック背負って。お母さんはホーム。
夏休みで一人でおばあちゃんちでも行くんだろなあ。
お母さんの心配気な様子から、初めてのプチ一人旅だなと思って何気に見てました。
お母さんはホームからずっとなんか言ってます。
ホームと反対側の扉に進んだ彼は、閉まってるドアに凭れて、うるさそうに片手をちょっとだけ上げました。
『ゲームしてて、乗り過ごしたらあかんよ!』って、お母さんは彼しか見えないみたいです。
彼はまた手を挙げましたが何も言いません。君には電車の中の他の人たちが見えてるものね。ちょっと恥ずかしいよね。
挙げた彼の右手から
『ハイハイ、わかりましたから』って言葉が聞こえてきそうです。
扉が閉まって、電車がゆっくりと進みだしました。お母さんは数歩だけ電車についてきはります。そんな別れでもないやろけど、やっぱり初一人旅なんかな。
と、電車が加速してお母さんが見えなくなったとき、彼が素早くホーム側のドアに走りました。扉のガラスにベターとほっぺをつけて、見えなくなったお母さんの方を見てました。
ほんまはちょっと不安なんやろな。でも男子のミエはちゃんとはって。
男の子が最初にミエをはる相手は、お母さんがいい気がしました。
無事にたどり着いたかなあ。乗り過ごさずに。
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