抱きしめられるこの今を

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「ディアラスの体内に生きた人間が隠されている以上、私たちは救出しないわけにはいかなかった」 「なるほど。人間を入れて運ぶディアラスが複数いれば、機体(スーツ)を着ていない隊員がどのディアラスに入っているかを区別することはほぼ不可能。人が入っているのであれば、なおさら見過ごせないな」  先導するサモンが納得した様子で厳しい顔つきになる。 「で、日本の隊員が入っているブリーチャー属をどうやって特定したんだ?」  サモンの後ろに乗るオルビアは結論を急いだ。 「大群と戦っているところに、あの飛行物体が上空から現れた。飛行物体は円環の光を放って、地面が川のように流れていった」 「? 意味が分かんないよ」  ラピは戸惑いを表情に貼りつける。 「そうね、見てもらった方が早いかも」  フォスター小官は隊員の映像記録(ログ)を切り取った動画を送った。  送られてきた動画がヘルメットのモニターの左端に表示される。映像は上下左右と振られ、視点が定まらない。建物が流れ、丘陵(きゅうりょう)を上っていく。  道路と敷地の境界がごちゃまぜになった地面。家の守り神のようなものだろうか。鳥の石像が流れていく地面に転がっていく。地面が流れていく光景に言葉を失う。 「そういえば、デストラと戦っている最中に地鳴りが聞こえたような気がする」  ラピは声の調子を上げて、納得した様子だった。
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