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人生に絶望し、首をくくることも考えた。でもそんな死に方をしたら両親に合わせる顔がない。愛を持って大切に育ててくれた、両親の人生そのものを否定しているような気がしたのだ。
ふと、前が気になって顔を上げる。悲しそうな顔が鏡に映っていた。これが自分の顔? と、氷見野は疑う。まるで死を間近に控えた病人のよう。
もう何も考えたくなかった。このまま、息をしているだけの操り人形でいよう。そうすれば、痛みも苦しみも、いつか来る死が吸い取ってくれる。泣き叫ぶ心に蓋をし、聞こえないフリをするように、氷見野はベッドに入った。
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