雷機の少女

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 氷見野が買い物をしているスーパーマーケット『ホームステーション』、そこから5キロ離れた場所に相模川(さがみがわ)がある。  緩やかな流れの川であり、長さは約100キロにも及ぶ。ブリーチャー警戒のために武装した自衛隊の巡回地域であり、相模川(さがみがわ)周辺の一部は立ち入りが禁止されている。  タイヤ駆動の戦車や熱感応レーダーが設置されているため、自然の(おもむき)は半減していた。  人々がブリーチャーを目にする機会はそれほど多くはない。ブリーチャーも人間を襲うより、動物を襲った方がリスクは少ないと感じたようで、ブリーチャーに食べられたと思われる魚などが大量に水面に浮かんでいる光景は珍しくなかった。  危険と平穏が共存しているような不安定な日常のはずなのに、ウォーリアオブゴッド(神の戦士)が成果を挙げたという報道が大々的に報じられ、平和な香気が蔓延していた。  そんな穏やかな時にこそ、忍び寄る魔の手に気づけないものである。相模川(さがみがわ)にある熱感応レーダーが、突如として警報音を鳴らした。
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