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のどかな店内は騒がしさを伝播する。どこからともなくアラームが鳴り響き、店内がざわついていく。
アラームを鳴らしていたのは氷見野の携帯も同じだった。立ち止まって携帯を見ると、真っ先にブリーチャーという文字が目に入る。
「ブリーチャーが近づいています! 店内にいるお客様は屋上へ逃げてください!」
切迫した男の叫び声が聞こえてくる。高い商品棚がある通路にいた氷見野は、奥の生鮮品売り場の通路を走り抜ける警備員を一瞬捉えた。
「商品を置いて、屋上へ避難してください!」
避難誘導の声を発しているのはさっきの警備員のようで、声が遠ざかっていく。氷見野は迷ったが、カートを置き去りにして走り出す。
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