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「ヨースルにヨースルにうるせーよ!!」
アラタが怒鳴った。
佑介も内心では同じように怒鳴っていた。
ミエの腰にまわされた手が、男たちの気を短くしていた。
「ボク、ビジネス、仕事ノ時ハ一人デス」
シヴァは自分に向けられた怒声を平然と無視し、祐介に向かって話し始めた。
「ヨースルに、誰かとチガってカヨワいレディの手ヲ借りルなんてコトなしに自分のチカラダケデタタカってマス」
「か弱くなんかないですよっ!」
「ケンカ売ってんのかコラァ!!」
立て続けに声が上がる。シヴァよりも祐介の方が竦み上がる。
だが何となく関係は見えてきた。アラタとミエは組んで『仕事』を行うことがあり、シヴァは常に一人で『仕事』をしている。そして仕事がバッティングした場合、お互いの利害が一致せず、揉める事があったりする。
そのイヤミを言うためだけに彼はこの場に近付いてきたのだろうか。
「ユースケ」
「はい、何でしょうか」
「ボクと組みマセンカ?」
「組む?」
おかしな言葉である。組むも組まないも、このプロジェクトでは皆がチームなのだから。
アラタが大きな声で笑い出した。
「てめぇ、一人で戦えるんじゃなかったのかよ。それとも友達いねぇのが寂しくなったのか?」
「今回のニンムのコトじゃアリマセン。このニンムが終わったアトの話デス」
身振り手振り、ジェスチャーを駆使してシヴァは話す。
「ボクのチカラがあればコレまでのヨウナ仕事ナラ、ドンナ仕事でも一人でノープロブレム、ヨースルにダイジョーブ」
そこでユースケの肩に手を置く。
「でも、ボクのチカラにユースケのチカラがプラスされレバ、モットモット大きな仕事がデキルヨウにナリマース」
そうは言われても、もちろん無能力者の祐介が承諾など出来るはずがない。
──さて、何て言って断るか……
祐介は思案をしながら間をとるようにとりあえず口を開く。
「シヴァさんは……」
「シヴァ、でイイヨ。ヨースルにサンはイラナイネ」
「シヴァは、どんな能力を持ってるんですか?」
手品で怪物と戦うんですか、とは訊けなかった。
「サイコキネシス、テレキネシス、パイロキネシス、アポート──ヨースルにチョーノーリョクデス」
シヴァはそう答えた。
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