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「ぐへへへへへっ。現れおったな、勇者ユウト! 今度こそ貴様を捻りつぶしてやるわー!」
いき巻くのは、一万を越える軍団を率いるガムー将軍。
筋肉ムキムキな身体にドラゴンの皮製の鎧を身にまとったその姿は、まさに勇者の宿命のライバルと云えた。将軍は部下に号令をかける。
「ええか。オマエら、キリキリいかんかーい!」
棍棒を振りかざせば、それを合図にオーク兵たちは一斉に大橋を渡り始めた。
一方の勇者は、眉一つ動かさずに平然としていた。やがて、背中に備え付けた大剣に手をとるや、両手でしっかと構える。大きく深呼吸した直後に、大きな声で必殺技の名前を叫んだ。
「オーガニックサマードライバー!」
遠くからハラハラドキドキの心境で見守っていた少女サオリンは思った。
(アレって、勇者様の必殺技?)
剣術にズブの素人である少女にとっては、勇者の仕草は、
(ただ握った剣を横薙ぎにしただけ、かしら?)
と見えなくもない。だが、その威力はとにかく絶大だった。刃から放たれた三日月型の剣光は、大橋に縦列しているオーク兵達に容赦無く襲いかかる。吹き飛ばされた輩は皆そろって谷底へと落ちていく。
更に、勇者ユウトの攻撃は続いた。
「デリシャスフローズン!」
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