第3話 勇者の旅立ち

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「え、別に・・・・・・なにも無いけど」 「少し元気無いような気がしたから」 「そうかしら? たぶんユウト様が旅立ってしまったせいね」  サオリンは自身に言い聞かせる。  古びた食堂の看板娘のクレームなど、嘘っぱちだ。チドリが台本に書かれていない事を、勝手にアドリブで演じただけ。どうせワタシたちの関係に嫉妬して、仲違いさせようと企んでいるに違いない。 (きっと、そうよ)  サオリンは心の内を悟られまい、と賢明に取り繕った。 「元気出して、サオリン!」  ヒューイは長い尻尾を器用に振ってくれる。その可愛らしい仕草にサオリンは癒された。思わずぎゅっと腕に力が入ってしまう。 「痛い、痛いよ、サオリン~」 「あら、ごめんなさい。うっかり・・・・・・」  サオリンは思った。  ヒューイと一緒に居るだけで、どうしてこんなに暖かく心地よいのだろう、と。
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