第4章 異変

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 それでも、佐緒里は不本意ながらも彼らの願いを叶えてあげている、いわばアウトロー的なサンタクロースとも云えた。  まるでゴミを掃除機で吸い取るがごとく、佐緒里は《転生アタック》を現世で繰り返す。  数えてみれば、既に七回も。  しかも一度たりとも失敗は無い。優秀な転生ドライバーぶりを発揮した。今、思い起こしても、前回の国道△号線付近で行われたミッションは、それほど難しい状況ではなかった。佐緒里ならば淡々と達成できたはずだったのに、ターゲットを転生させられなかった。しくじったのだ。  アレは単なるイージーミスだったのか?  自問する。 (いや、違う。だって……)  当時の様子をしっかり思い出そうと、静かに目を瞑れば、蘇ってきたのは別なる光景・・・・・・。  片道一車線の狭い山道。  滝の如く降り注ぐ、土砂降りの雨。  視界の悪い急カーブ。  突然に面前に前に躍り出た、白光の小さな物体。  とっさに踏んだ急ブレーキ。  飛び散る火花と、金切り声を上げるブレーキ音。  強烈なフラッシュバックを受けて恐ろしさの余り、目を見開いた。汗ばんだ両手で必死に顔を覆った。 (また。また、アレが出てきた)     
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